アップルがバーチャルビジネス界でその役割を担う主な方法

ジェーン・サンドウッド

ここ数年、Appleは静かにエンタープライズ業界における権威としての地位を確立してきました。2007年以来、AndroidとiOSは、消費者の視点だけでなく、ビジネスにとってより優れたオペレーティングシステムプラットフォームとしての地位をめぐって、覇権を争ってきました。 

現在、Androidは市場シェアの87%を占め、Appleはわずか13%を占めています。リモートワークへの移行とバーチャルビジネスの世界が加速する中、Appleはサイバービジネスの世界における業績と事業運営を向上させるための新たな機会を活用しています。メールマーケティング機能を強化するiPhoneアプリ群の導入から、リモートワーカーの同時コラボレーション支援、ビデオ会議エクスペリエンスの向上まで、Appleがバーチャルビジネス体験の進化においてどのように大きな役割を果たしているかをご紹介します。

AppleのMDM機能とアプリスイートはリモートでの共同作業を可能にする

Merchant Savvyの調査によると、米国企業の69%が既にリモートワークポリシーを導入しています。しかし、ここ数ヶ月の状況を考えると、あらゆる規模の企業が従業員の在宅勤務への適応を迫られており、この割合は急上昇していると考えられます。AppleのMDMは、管理者と従業員の両方にとって、大規模なリモートワークチームの管理プロセスを簡素化するために活用できます。Apple Business Managerを活用すれば、従業員のリモートワークを支援する適切なアプリの導入を制御できます。

また、モバイルタブレットやノートパソコンなどの企業所有デバイスの自動登録機能と、自宅または信頼できるWi-FiネットワークからのWi-Fi接続のみを許可するネットワーク制限により、より高度な制御とセキュリティを実現します。コラボレーションと生産性向上のため、すべてのAppleデバイスにCisco Webex、Pages、Numbers、Keynoteが搭載されています。iCloudリンクやフォルダを共有することで、リモートワークの従業員はプロジェクトやプレゼンテーションを同時に進めることができます。 

Apple、デジタル会議スタートアップスペースを閉鎖 

Appleのポートフォリオに新たに加わった注目すべき企業は、VRスタートアップのSpacesです。ドリームワークス・アニメーションのプロジェクトとして設立されたSpacesは、最近、ZoomやFacetimeといった市販のビデオ会議ソフトウェア向けのVRアドオン機能の開発を開始しました。AppleのVR分野への進出は2017年から話題となっており、Akona Halographicsや、最近ではNextVRといった同様のAR企業を買収しています。

Appleは独自のVRヘッドセットを発表していないものの、独自のVRヘッドセットを開発中との噂があることを考えると、Spacesの買収は理にかなっていると言えるでしょう。Spacesが計画している機能により、オンラインビデオや会議ホスティングソフトウェアの選択など、よりパーソナライズされた利用が可能になります。NextVRとSpacesの買収は、Appleにとって、急成長を遂げているバーチャルビジネスイベントやセミナーの世界への進出の道を開くものとなるでしょう。

アドオン機能には3Dアバターの組み込みが含まれており、まるでオフィスにいるかのように従業員が隣り合って働いているかのような錯覚を生じさせます。また、同社は近日中にVRグラスのリリースを予定しており、リモートワーク中のオフィス業務、従業員研修プログラム、そしてバーチャルセールスの領域にさらなる変革をもたらすでしょう。

同社はモバイルフレンドリーなZoomのような機能を導入

フォーチュン500企業の90%がZoomやSkypeなどのビデオ会議プラットフォームを同僚とのコミュニケーション手段として利用していることから、こうしたツールの人気と有用性は否定できない。Appleも以前からそのことを認識していた。TrustRadiusの推計によると、今年1月から3月にかけて、ビデオ会議技術への関心は驚異的な120%増加した。これにより、市場規模は2026年までに600億ドルを超えると見込まれている。 

Appleのビデオ通話アプリ「FaceTime」は、すでに世界中の1,000万人のiPhoneユーザーに人気を博しています。最大32人まで通話できる機能により、企業からも一定の支持を得ています。しかし今年5月、AppleはZoomなどの競合アプリとの競争力を高めるため、FaceTimeに新機能を追加しました。iOS13.5のリリースノートでは、機能アップデートとして「グループFaceTime通話で参加者が話してもビデオタイルのサイズが変わらないように、自動で目立つようにするオプション」が追加されました。また、AppleがFaceTimeの参加者数制限を引き上げ、大企業や大規模なグローバルビジネスイベントでの訴求力を高める取り組みを進めているという噂もあります。

バーチャルビジネスは今後も定着していくことは否定できません。製品の販売方法から従業員の教育方法に至るまで、IT企業はますますデジタル化が進む世界に合わせて製品やサービスを適応させるプレッシャーにさらされています。一見すると、Appleはこの課題に果敢に取り組んでいるように見えます。