アイルランド政府は、EUの裁定に従い、アップルから130億ユーロ(約145億ドル)の追徴税を徴収する方針だが、その見通しには満足していない。アイルランド政府は、アップルが将来、控訴審で勝訴し、還付が必要になった場合、この資金がエスクロー口座に預けられることになり、その減価償却費の責任を問われることを懸念している。
パスカル・ドノホー財務大臣は、ドイツの新聞とのインタビューで、「我々は他の全ての人々に代わって世界的な税金徴収を行っているわけではない」と語った。

欧州の反トラスト・消費者調査機関である欧州委員会は、アイルランド、ルクセンブルク、オランダが、EU加盟国を含む他国における大企業の租税回避を支援することで、投資と雇用を誘致してきたと主張した。委員会は、アイルランドがアップル社に対して下した裁定が甘すぎたと疑っており、その結果、同社は数百億ドル規模の利益を課税から逃れることができたと見ている。アイルランドの法人税率は12.5%で、米国の35%を下回っている。しかし、二重課税制度の下では、参加企業は12.5%を納税する必要がない。
ティム・クックCEOは、欧州委員会の判決を「全くの政治的な戯言」と非難した。アップルのCEOはまた、この「遡及的な」税制改革法案は、EUが米国財務省に支払うべき税金を徴収し、28カ国からなるEU域内で税率を統一しようとする試みだと示唆した。