反論:eSIMのみのiPhone 14はeSIM導入の転換点となる

AppleはiPhone 14シリーズでeSIMを全面的に採用しています。eSIMとは、物理的なnanoSIMを使わずに通信事業者のモバイル通信プランを利用できるデジタルSIMです。

スマートフォンにおけるeSIMは2017年から存在していましたが、Counterpoint Researchによると、その普及は緩やかでした。Googleが「Project Fi」の一環としてeSIM対応のPixel 2を発売したことが、eSIMの普及の始まりでした。しかし、業界におけるeSIMの普及をリードしたのはAppleであると、同調査グループは指摘しています。

同社はiPhone XSでeSIM技術を導入し、それ以降発売されるすべてのiPhoneがeSIMに対応しています。そして今回、AppleはiPhone 14シリーズで米国においてeSIMのみに対応したスマートフォンを発売しました。Appleに続き、Samsung、Huawei、Motorolaといった他のスマートフォンメーカーも、主にプレミアムセグメントにおいてeSIM対応スマートフォンを発売しています。現在までに14のメーカーがeSIM対応デバイスを発売しています。

しかし、カウンターポイント・リサーチは、Appleが業界の事実上の標準を確立していると指摘しています。同調査グループの報告書には、「ここ数年、このような事例が何度も見られてきました。確かに、他のOEM(相手先ブランド製造会社)はAppleよりも早く製品を発売できるかもしれませんが、Appleがその技術をiPhoneの販売に活用すれば、その技術はより早く普及するでしょう。デュアルカメラ、ポートレートカメラ、Face ID搭載のディスプレイノッチなどで、この現象が起こりました」と記されています。

同じ現象がeSIMでも繰り返されるでしょう。GoogleはeSIM対応スマートフォンを初めて発売した企業であり、MotorolaはAppleより3年前に世界初のeSIM専用携帯電話を発売していましたが、今回の発売により、スマートフォンにおけるeSIMの発売が飛躍的に増加するでしょう。

eSIMの導入は、業界にとって大きな転換点となり、物理SIMカードからeSIMへの移行を促進すると考えています。eSIM専用iPhoneは、世界中の多くの消費者の心にeSIMを定着させるだけでなく、将来的には他のOEMにもeSIMへの移行を促すでしょう。